狼くん、ふれるなキケン!
申し訳なさに謝ると、道枝さんはにこにこ微笑みかけてくれる。
「ふふ、さすがに一気に30人も覚えられないよねー」
優しい笑顔と声に、よかった、と胸をなでおろす。
「学校のことでわからないことがあったら、私になんでも聞いてね」
「っ、はい……!」
「これからよろしくねっ」
「こちらこそ、よろしくお願いしますっ」
差し出された手をぎゅっと握る。
図らずとも、友達が増えて、うれしい。
「そういえば、道枝さんとまやくんって……」
結局どういう関係なんだろう、ただのクラスメイト……?
でも、それだけじゃないよね。
道枝さん、まやくんを追いかけてここまで来たみたいだもん。
もしかして────と勝手にあれこれ想像をめぐらせていたのだけれど。
「「天敵」」
ぴたりと重なったふたりの声。
「え……、てんてき……?」
思わず、ふたりの言葉をそっくりそのまま返してしまう。