狼くん、ふれるなキケン!
『おれ、ひなちゃんなら全然大歓迎』
じゃなかったら、あれはなんなんだって感じだもん。
軽薄、か……。
高校生のまやくんは、やっぱり私の知っているあのまやくんとはなかなかイコールで結ばれてくれない。
「ひなちゃん、ゆっきーの言うこといちいち真に受けちゃだめだよー。疲れるからねー」
「は!?」
まやくんの言葉にいちはやく反応した道枝さん。
そのあまりにどす黒い声にびっくりして、ふと、おかしくて吹き出しそうになる。
道枝さんって、清楚でおしとやかそうで……そう、言うなれば大和撫子という感じのルックスなんだけど。
まやくんが絡むと、その印象が見事なまでに崩れるな。
いい意味で、だよ。
「ゆっきーいちいち細々口うるさいんだよー、風紀委員だかなんだか知らないけどさー」
「真矢が風紀を乱してるからでしょ! 取りしまるのが私の仕事なの!」
「えー、べつにおれなにもしてないしー」
「まずもって、その髪色から校則違反なの……!ピアスもだめ!没収!」