狼くん、ふれるなキケン!


道枝さん、風紀委員なんだ。

その肩書きはしっくりくる。
イメージどおり。



だけど、腑におちないこともある。





「はいはーい、ゆっきー失くさないでね、それ」





とくに逆らうこともなく、ごく素直に。

きらりと光る粒を耳からはずして、まやくんは道枝さんに手渡している。




風紀委員、品行方正でしっかりものの道枝さん。

たらしで軽薄、校則違反だらけのまやくん。




見るからに凸凹な組み合わせだけど……犬猿の仲、だけじゃないようにも見える。ふしぎだな。





「てゆーか、ひなちゃんってなんでうちの学校来たの?」

「え……」

「わざわざここじゃなくてもさ、立華とか桐女とか、それっぽいとこあったでしょ」

「ここに来たら、だめなんですか?」

「べつに、そうは言ってないけどー。ひなちゃんって、こういうガラ悪そうな公立より桐女とかの方が合ってそうじゃん」





ガラ悪い……のかな。


あんまりわからない、けど、一応校則違反ではあるものの派手な髪色をしたひとたちをちらほら見かけるということは、そういうことなのかもしれない。



それに、たしかに、清楚でおしとやかな校風、とは言い難いかも。




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