狼くん、ふれるなキケン!



今こうして話しているとそんなこと、すっかり忘れていたけれど、むかしむかしの狼くんと私とまやくんの関係はそれはそれはビミョーで……。



3人揃ったときといえば、苦い思い出のほうが多いかもしれない。



久しぶりに会ってみれば、そんな風には思わないのだけれど、あの頃は正直、ちょっとまやくんのことが苦手だった。




「今も仲良いの? あいつと」




まやくんが、あいつって呼んだ。
会話の流れ的に……狼くんのこと、だよね。


うっ、と言葉につまる。
まやくんはまた口を開いて。




「もしかしてさ、ひなちゃんがここ選んだのって、あいつがいるから?」

「や……」

「健気に追いかけてきたんだ?」





ほんとうは、図星。

そうだよ、狼くんがいたから。
ほかを差し置いて、この学校を選ぶ理由なんて。



校風とか、制服とか……そんなのおまけにすぎないの。

ここに戻ってこれたなら、狼くんと同じ学校に通いたかった。


……だけど。





「ちがい、ますっ」





ふるふると首を横にふる。




< 46 / 352 >

この作品をシェア

pagetop