狼くん、ふれるなキケン!
「ちがうって……」
怪訝な表情。
意味わかんないって言いたげなまやくん。
「その、狼くんとは……とくに、何も」
「何も?」
「選んだ学校がたまたま同じだっただけです……!」
は? って顔してる。
それもそのはず、ごまかし方があまりにも下手だもん。自分でもわかるよ、こんなのじゃ納得してくれない。
でも、だって。
「……っ」
スカートの裾をきゅっと握る。
私だって、狼くんと仲良しだって言いたいし、狼くんを追いかけて学校を選んだことだって後悔なんてしてないし、後ろめたいことなんて、ないよ。
でも、約束、したから。
したというか……させられたというか。
それは、狼くんの家におじゃますることになった初日のこと。
苛立ちをぶつけるような不本意なキスのあと、気まずくて終始黙りこんだまま夕食を終えて、そのあと。
狼くんママがお風呂に行って、リビングにふたりきりになったタイミングで、狼くんが業務連絡みたいに言ったのだ。