狼くん、ふれるなキケン!
『先に言っとくけど』
『……?』
『学校では話しかけんなよ、絶対』
『な、なんで』
『うざいから』
きっぱり言い切った狼くん。
もちろん、私だって簡単にはひかなかったよ。
『どうしても、だめ、ですか?』
『どうしてもっていうなら、俺は学校行かない』
『……冗談、ですよね?』
そう思って聞いたのに、まさかまさかの狼くんは大真面目な顔を少しも崩さなかったから。本気で言ってるんだ。
話しかけちゃだめ……って、なにそれ。
それだけでも、もう私の心はぐさぐさのぼろぼろだったのに。
『それと、俺とは他人ってことにしといて』
『はい……?』
全然意味不明。
目を見開いた私に、狼くんはわずらわしそうに息を吐き出した。
『だから、ひなと俺は赤の他人ってこと』
『え』
『俺の家に住んでるってことも、誰にも言うなよ』
『どうしてそこまで……』
『うざいから』
さっきから『うざい』ってその一点張りだ。
べつに、狼くんのとこに居候させてもらってるって言いふらすつもりなんてもともとないし、秘密にしてほしいならそれくらいするけれど……。
でも。