狼くん、ふれるなキケン!
「っ、はい!!」
はっと我に返って、何を思ったのか勢いよく返事すると、まやくんはくすくす笑う。
たしかに、今のはちょっと元気すぎたかもしれない。
なんて、プチ反省していると。
「で、結局、藤川狼とは何もないの?」
「だから、ないですってば!」
「ふーん、あやしいなー」
探るようなヘーゼルの瞳が近づいてくる、物理的に。
まやくんってパーソナルスペースがとっても狭い。
ふつう、友だちに対する距離感じゃないよ、これ……!
「何もないとか言って、ほんとうはさー」
ぐ、と手のひらを握る。
ちょっと冷や汗。
まやくん、さっきから鋭いからな。
油断できない。
……べつに、私はバレたってなにも思わないよ、狼くんと今一緒に住んでるって。だけど、狼くんはあんなにいやそうにしてたんだもん。
だから、ここであっさりまやくんに暴かれるわけにはいかない。
「……」
もしもまやくんに言い当てられたら、なんて言ってごまかそうか、なんて考えていたけれど。
まやくんが次に放ったのはまったく予想外のセリフだった。