狼くん、ふれるなキケン!
ほんと、道枝さんの助け舟がなかったらどうなっていたことやら。まやくんってば、厄介極まりない。
落ち着いたところで、ふー、と息を吐き出すと。
「てか真矢も近原さんもそろそろ教室に戻らないと! もう一限はじまっちゃうよ」
「わ! ほんとですね……!」
「出たよ、ド真面目」
腕時計を確認して、親切にも時間を教えてくれた道枝さん。
そんな彼女に対する反応は、私とまやくんと、てんでバラバラだった。
すかさず道枝さんはまやくんを睨みつけている。
「ほらほら、早く」
そのまま道枝さんに促されるまま、まだその場所をしっかりとは覚えられていない教室に戻る。