狼くん、ふれるなキケン!




その後もたっぷり新しい生活に戸惑いながらも、道枝さんを筆頭にクラスのみんなの助けを借りて、なんとか無事に転校初日を乗りこえて。



ひとまずこれでひと安心、と思っていたのだけれど、本日最大の事件が起きたのは、それからだった。



それは、狼くんと狼くんママと、夕食を食べていたときのこと。


ちなみに本日のメニューは、豚のしょうが焼き。美味しいよね、狼くんママのお手製だ。





「あら? こんな時間に何かしら」




突如、プルルル……と響いた電話の音。

狼くんママが箸をとめて、不思議そうに電話の方へ向かっていく。



もう夜だもん。

電話をしてくる人なんて、きっと限られている、けれど……。





「はい、藤川ですが……。え?それは本当ですか?」





食卓に残された狼くんと私。

狼くんには私と何か話そう、なんて気はないのだろう。



こちらをちらりとも見ないまま、ひたすらもぐもぐと咀嚼している。

せっかく同じ空間にいても、これじゃあ私が空気にでもなったみたいだよ。




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