狼くん、ふれるなキケン!



「ええと、それで狼くんパパは何事もなかったんですか?」

「おおむね無事だったみたい」

「おおむね……?」




狼くんママは、コップのお茶に少し口をつけて、ふう、と息をつく。




「大したことはなかったんだけど、落っこちた拍子に足の骨をやっちゃったみたいでね」

「え……!」




思ったより、大丈夫じゃなかった。

ぜんぜん笑いごとではなくて、申し訳なくなってくる。狼くんパパ、ごめんなさい、さっきは笑ってしまって。




骨を……って、骨折だよね。

かわいいイタズラによる、ぜんぜんかわいくない怪我に、落とし穴もあなどれないな……と謎の感想を抱いた。





「でもそれって、狼くんパパ、大丈夫じゃないんじゃ……」





狼くんママは大したことない、ってさっき言ったけれど。



単身赴任中ってことは、ひとり暮らし……なんだよね。

それって、そうとう大変なんじゃ。





「そうなのよねえ」





頷いた狼くんママ。


ええ、やっぱり全然大丈夫じゃなかった……! と、ひとり狼くんパパを案じてあたふたしていると。




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