狼くん、ふれるなキケン!


「それでね?」




狼くんと私をひとりずつ見比べたあと。





「────明日の朝一の便でパパのところに行くことにしたの」





あ、もちろんママひとりでね? と狼くんママは付け加えた。




なるほどなるほど。

狼くんママが狼くんパパのところへ行って、家事や生活のいろいろを手伝えば怪我の分の負担も軽くなるよね。


そうだよ、それがいいよね────ってあれ、それじゃ……。





「だから、どれくらいの期間になるかわからないんだけど、その間、この家は狼とひなちゃんに任せるわね」

「……えっ」




頭のなかをふとよぎったこと。
そのまんまを狼くんママは口にした。




思わず狼くんの方をぱっと見ると、さすがの狼くんも目を見開いてこっちを見ていた。


ばっちり、目が合って。

でもそれは一瞬で、はっとした狼くんの方から先に逸らされてしまう。




「それって……」

「申し訳ないけど、しばらくの間、狼とひなちゃんでふたり暮らししてもらうことになるわね」





< 60 / 352 >

この作品をシェア

pagetop