狼くん、ふれるなキケン!
「それでね?」
狼くんと私をひとりずつ見比べたあと。
「────明日の朝一の便でパパのところに行くことにしたの」
あ、もちろんママひとりでね? と狼くんママは付け加えた。
なるほどなるほど。
狼くんママが狼くんパパのところへ行って、家事や生活のいろいろを手伝えば怪我の分の負担も軽くなるよね。
そうだよ、それがいいよね────ってあれ、それじゃ……。
「だから、どれくらいの期間になるかわからないんだけど、その間、この家は狼とひなちゃんに任せるわね」
「……えっ」
頭のなかをふとよぎったこと。
そのまんまを狼くんママは口にした。
思わず狼くんの方をぱっと見ると、さすがの狼くんも目を見開いてこっちを見ていた。
ばっちり、目が合って。
でもそれは一瞬で、はっとした狼くんの方から先に逸らされてしまう。
「それって……」
「申し訳ないけど、しばらくの間、狼とひなちゃんでふたり暮らししてもらうことになるわね」