狼くん、ふれるなキケン!


だって、狼くんすぐに引きこもっちゃうから。

部屋にでも押しかけなきゃ相手にしてもらえないでしょ?




「だめ、ですか?」




ダメ押しのひと押し。
狼くんは、チッと舌打ちひとつ。

うっ、舌打ちするような子に育てた覚えはないんだけどな……。




「だめなもんはだめ」

「……そんなにいやがるなんて、部屋になにかやましいことでも隠してるんじゃ?」

「あ?」

「ひっ」




その低いトーンで凄むのは、ちょっとやめてほしい。

思わずびくっと肩が揺れた。





「……つーか、ひなの方こそだろ」

「なにが、ですか?」

「俺が部屋に入ってくんのとか、やじゃねーの」

「えっ、むしろ大歓迎なんですが」




入ってきてくれる可能性、あったんだ。

ぱあっと表情を明るくした私に、狼くんはしかめっ面でまた舌打ち。




「……なあ、わかってんの?」

「はい?」




首を傾げた私に、狼くんは軽く息をついた。



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