狼くん、ふれるなキケン!


「ひ、人喰いオオカミ……!」

「……人聞き悪い」



事実だもん。


ひとのこと、噛んじゃだめって教わらなかったの……? いやいや、教わるまでもなく、だめなものはだめ!


膝詰めでお説教案件だぞこれは、なんて、むむむ……と唇をとがらせる。




「ひな」

「……はい?」



なぜか、狼くんがお説教モードだ。

おかしい、なんで狼くんの方がそんなコワい顔してるの。




「これでわかっただろ」

「なにが、ですか」

「男と暮らすって、こういうことだっつってんの」

「っ、こんなことするの狼くんだけじゃないですかっ!」




甘噛みされたところが、まだ熱をもっている。


痛くて、とかじゃない。

恥ずかしくて……あと、少し、心臓のあたりがおかしくて。




「あんま男舐めんなよ」

「べつに、舐めては……」

「飢えてたら、気持ちがなくても誰にだってできんだよ、こーいうこと」




そういう生き物だから、って。
素っ気なく言った狼くん。



じゃあ。
じゃあ……。




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