狼くん、ふれるなキケン!
「狼くんも、なんですか……?」
「は?」
「気持ちがなくても、誰にだってできるって……」
どうしてこんなこと聞いてるんだろ。
どうして、そんなこと気になったんだろう。
でも、聞かずにはいられなかった。
なんだか、喉のあたりがもやもやして……。
「他の女の子にも、ああやって触ったり、するんですか?」
ちゃんと質問の形をとって、尋ねたのに。
狼くんはなかなか答えてくれない。
じっと見つめていると、狼くんの喉仏がゆっくりと上下するのがわかった。
「あの、狼く……」
「────知らねーよ、そんなこと」
知らない、ってそんなわけない。
自分のことなのに。
そうやってごまかすのは、肯定してるのと一緒なんだよ。
他の女の子にも、あんな風に、触るの……?
とつぜんキスしたり、噛んだり。
狼くんが……?
そんな姿は上手く想像できないのに、それでも想像してしまって、またもやもやが広がっていく。
胸のあたりがちくっと、針でつつかれたみたいに痛い。