狼くん、ふれるなキケン!



「狼くんも、なんですか……?」

「は?」

「気持ちがなくても、誰にだってできるって……」




どうしてこんなこと聞いてるんだろ。
どうして、そんなこと気になったんだろう。

でも、聞かずにはいられなかった。
なんだか、喉のあたりがもやもやして……。





「他の女の子にも、ああやって触ったり、するんですか?」





ちゃんと質問の形をとって、尋ねたのに。
狼くんはなかなか答えてくれない。

じっと見つめていると、狼くんの喉仏がゆっくりと上下するのがわかった。





「あの、狼く……」

「────知らねーよ、そんなこと」





知らない、ってそんなわけない。
自分のことなのに。



そうやってごまかすのは、肯定してるのと一緒なんだよ。



他の女の子にも、あんな風に、触るの……?
とつぜんキスしたり、噛んだり。

狼くんが……?




そんな姿は上手く想像できないのに、それでも想像してしまって、またもやもやが広がっていく。

胸のあたりがちくっと、針でつつかれたみたいに痛い。




< 74 / 352 >

この作品をシェア

pagetop