狼くん、ふれるなキケン!


つきつきする心を見ないようにして、話をもとに戻すべく口を開く。



あんまり今、狼くんのこと深く考えたくないかも。

きゅうっと絞られるみたいな苦しさがつきまとうんだもん。




「……わかりました。むやみに狼くんの部屋には入らない、から」




狼くんの方を上手く見れない。





「でも、絶対入らないって約束するのは、や、です」




だって、それを認めちゃったら、たぶん狼くんと関われなくなる。それは……やっぱり、いや。





「せめて用があるときくらいは、ゆるしてくれませんか」

「……なんでも“用事”って言うだろ」

「うっ、言わないです!」




そう言ったら、狼くんのため息が聞こえてきた。


はー……、とほんとうに面倒そうな。




でも、それ以上何も言ってこない。

それでいいってことかな、と都合よく解釈する。




「ペン、借りてもいいですか」





狼くんが持ってきたマーカーペンを借りて。


“2. 互いの部屋には立ち入り禁止” のとなりに、きゅっきゅと書き加える。




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