狼くん、ふれるなキケン!


“( 用事があるときは◎!)”



狼くんの、どちらかといえばカクカク角張った字のとなりに並べると、私の字は丸くちいさく見えて、ちぐはぐだ。



そのあとも、あーだこーだ狼くんと言い合いながら完成した、同居の決まりごとリスト。

主張があまりにも合わなかったから、妥協ポイントがたっぷりだよ。



ぼんやり眺めながら、リストの上の部分、しっかりと空いた余白に目がいく。





「ここ、私が書いてもいいですか?」

「……好きにすれば」





とんとん、と余白を指しながら狼くんのゆるしを得る。

それで、またマーカーできゅっきゅと仕上げ。




「これでばっちり!」

「……“おやくそく”って、子供かよ」

「なにか文句でも?」

「……別にいいけど、なんでも」




いちいち突き放すような言い方してくる。


ひななんてどうでもいい、って言われてるみたいで、ちょっとぐさってくるな。



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