狼くん、ふれるなキケン!




「狼くんっ、朝ですよ!」

「……んー……」




次の日の朝。


まさか、こんなにも早く “おやくそく” をやぶることになるとは思わなかった。

……昨日、決めたばっかりなのに。



ううん、やぶったんじゃない。

ちゃんと例外には当てはまるし……、それに、これは不可抗力!





「狼くん、起きてくださいっ」





今朝、めざまし時計の音で目覚めると、もう狼くんママはいなかった。

狼くんパパのもとへ、無事出発できたみたい。




昨日じゃんけんをした結果、家事の分担は私から────つまり、今日の家事の当番は私になったの。



だから、早起きしてちゃんと、ふたり分の朝ごはんも作ったんだよ。


なのに、私が髪を結んで制服のリボンを整えてカバンの中身を確認して────準備万端になっても、狼くんは一向に起きてこないから。




「狼くーん、いい加減に起きないと、遅刻しますってば……!」





“2.互いの部屋には立ち入り禁止” をはやくも無視した私は、いま、狼くんの部屋のなか。


だって、このままじゃかんぺき遅刻なんだもん。




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