狼くん、ふれるなキケン!
うっすら開きかけた狼くんの目がまた、うとうとと閉じていく。
ちょっと待って、狼くんってばまだ寝る気なの……?
「狼くん! 起きて!」
最終手段。
狼くんの体を包みこんでいる掛け布団をべりっと勢いよく剥がした。
これでさすがの狼くんも起きるはず!
「あ、狼くんおはようございま────」
作戦はいちおう成功。
あったかい布団を失った狼くんは、固く閉じていた瞼をあげた。
「……あ?うるせえ失せろ……」
そして、寝起きの掠れた低い声で、なんとも物騒なセリフを言い放ったかと思えば。
「っ、ひゃあ……ぅ!?」
寝ぼけてるとは思えないくらいの、強い力。
私の手首をがっちり掴んで、なぜか、思いっきり引き寄せた。
バランスを崩した私はそのままなだれ込む。
狼くんのベッドの上、狼くんの体の上。
「ろ、うくん……!」
ぴったりとくっついた体同士。
慌てふためき体を起こそうとしたけれど、上手くいかなかった。
ぐい、とこれまた強い力で引き留められたから。
もちろん、狼くんの仕業だ。
だって今ここには狼くんと私しかいない……っ。