狼くん、ふれるなキケン!
狼くんは、もともとツリ目なのをもっと釣り上げていた。
そんなコワい顔されたって、困る。
「ほんと大変だったんですからねっ?」
「……」
「起きてくれないくせに怪力だし、ぜんぜん離してくれないし、くすぐってくるし、ひとの、み、耳食べるし……!」
もう……!
思い出すだけで恥ずかしくなってきた。
ごまかすみたいに手のひらをグーに握って、ぽかっと狼くんの胸元めがけてストレート。
だけど、そのこぶしは狼くんの胸板に届く前に、なんなくキャッチされてしまった。
そのまま腕をひねりあげられる。
「っ、ちょ、ギブギブギブ……!ギブです!」
遠慮のかけらもない手つきに悲鳴をあげる。
ふつうに痛いので、やめてもらえませんか……!
慌てて抵抗すると、狼くんがまたチッ、って。
この間から舌打ちしすぎだよ。
舌打ち禁止令でも発令したほうがよさそう。
「自業自得だろ」
「え……?」