狼くん、ふれるなキケン!
「先に部屋入ってきたのはひなの方」
「っ、それは……っ」
狼くんが起きてこないのが悪いんですよ、って。
続けるつもりだったのに、言葉にならなかった。
間髪入れずにまた、狼くんが口を開いたから。
「……触ってきたのだって、ひなの方からだろ」
「え……」
「俺からひなのこと触るなんてありえない」
ありえないって、さすがに言いすぎだ。
言いすぎだ、し。
「私の方からって……っ」
たしかに、その通りかもしれない。
狼くんを起こすため、最初に体に触れて、揺すったのは私の方。掛け布団を剥ぎとったのも私の方だ、けれど。
全然ちがうよ。
私のそれと、狼くんの寝ぼけながらの私への触れ方とは全然ちがう。
だって、なんか……!
なんか、あの狼くんの触り方はだめなやつだった……!
思い出して、勝手に赤くなる。
火照る頬があつい。
「そうなるってわかってて、部屋に入ってきたんじゃねーの」
「な、そんなわけ……!」
「……あっそ」