狼くん、ふれるなキケン!
狼くんの方から聞いてきたくせに。
やけにそっけない返事に、ぷくっと頬をふくませる。
そんな私の様子を見ていたのか、それともまったく眼中にないのか……は、わからなかったけれど、狼くんのついた長い息の音だけははっきり聞こえてきて。
「だったら」
面倒そうな声色と口調。
コワい顔で凄まれるよりも、こっちの方が数倍心にこたえるな、と思った。
まだ何も言われていないのに、悲しくなっていると。
「触るなって付け加えとけ」
「はい……?」
付け加える……?
狼くんの言っていることがよくわからない。
ぱちぱちと瞬きを繰り返す。
「 “おやくそく” に、だよ」
“おやくそく”……。
いまは冷蔵庫に貼ってある、昨日狼くんとつくりあげたリストを思い浮かべる。
付け加えとけ、って。
「6.触るな……ってこと?」
「そういうこと」
「さ、触るのもだめなんですか……っ?」
部屋に入るのもだめ。
触るのもだめ。
そんなの……そんなの。