狼くん、ふれるなキケン!
「べつに、やぶりたければやぶれば」
「え」
「……そのときは、どうなっても知らないけど」
これは、“おやくそく” をさっそくやぶってしまったこと、けっこう根に持ってるな。
それに、『どうなっても』って!
やぶったあかつきには、煮るなり焼くなり殴るなり蹴るなり……。
ともかく、狼くんは本気の目をしてる。
冗談じゃなさそうで。
「ぼ、暴力反対……!」
思わず声をあげると、狼くんは冷ややかな視線をこちらに向ける。う……、心が凍ってしまいそう。
触るな、って。
狼くんのなかで、私が部屋に入ったり、狼くんにふれたり、それってそんなにタブーなの。
それってなんだか……。
もうわかりきっていたことではあるけれど、改めてしっかりと拒絶されたような気がして、しょぼんとうつむく。
と、視界に入ってきた腕時計。
「が、学校……!」
「……今度は何」
「なに、じゃないです! 時間! ほんとにほんとに遅刻しちゃう……!」
「じゃあ、先行けば」