狼くん、ふれるなキケン!
それからまたたく間に。
「え゛!? 狼くんもう準備終わったんですか……っ!?」
あれだけ寝ぐせをつけていたのに。
どんな魔法をつかったのか、一瞬で身支度を終えた狼くんは、無慈悲にも私を置いて家を先に出て行った。
なぜか、狼くんに遅れをとった私は、慌てて家を出て。
必死に走り、なんとか学校に到着。
教室にすべりこんだのは、始業のチャイムと同時だった。
「はー……」
席につきながら、疲労感と間に合った安心感に深く息をつく。
肩で息をする私の様子に、隣の席のまやくんが不思議そうにしていた。
ここまでで、すでに一日分の体力をすべて使い果たしたような……とひとり、げんなりしたのだった。