狼くん、ふれるなキケン!


こてんと首を傾げると。


「飯はいい」

「えっ」

「風呂入ったら寝る」

「ねる、ですか……? え、寝……!?」



狼くんは私の横を通り過ぎて。

そのままお風呂の方へ行こうとするから、慌てて狼くんのシャツの袖を引いて引き止めた。



「ちょ、待ってください!」

「あ? なんだよ」

「ごはんはちゃんと食べないとだめです……!」

「俺がいいっつってんだから、いい」

「よくないです! 健康にわるいもんっ」




狼くん、そーとーイライラしてるな。
眼光がギラギラしてる。

でも怯まないもん、と思っていると袖を掴んでいた手のひらを思いきり振り払われた。




「ひなは俺の親かなんかなわけ」

「や、違いますけど……っ」

「母親気取りしたいだけなら、迷惑」




めいわく。
迷惑……か。

でも。




「だって、狼くん今日朝ごはんも食べてないし」




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