狼くん、ふれるなキケン!


結局私がつくった、味噌汁にもだし巻き玉子にも手をつけてすらくれなかった。

残ってしまった狼くんの分だったそれは、結局、おやつ代わりに私の胃袋におさまったのである。




「ふつうに、心配……って思っただけ、です」




朝も夜も抜くなんて。
ましてや食べ盛りの男の子が。


心配にもなっちゃう。

狼くんにとっては、大きな迷惑なのかもしれないけど……とうつむく。



するとそんな私の頭上に、はー……、とため息が降りかかった。

ため息も、もう、何回目かな。

ここへ来てからというもの、もう数えきれないほどこの音を聞いている。




「……わかった」

「なにが、ですかっ」

「食えばいいんだろ、夕飯」




どういう風の吹き回しだ。

目を見開く。




「食べて……くれるんですか?」





あんなにいやそうだったのに。



どこで心変わりしたの。

やっぱり、狼くんの考えていること、全然わかんないよ。



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