呉服屋王子と練り切り姫
アイムノットユアスイートエンジェル!
仕方なく、陽臣さんの部屋に向かう。玄関の扉の前に立った瞬間だった。
「おかえりなさいませ、愛果様」
まるで自動ドアのように扉が開き、年老いた執事らしき人と、お手伝いなのか年配の女性に迎えられた。
「愛果様のお荷物はすべてお部屋に運んであります。どうぞ、こちらへ」
促されるままに部屋の中に足を踏み入れる。靴を脱ごうとすると、制された。
「こちらは土足でけっこうですよ、愛果様。お部屋にルームシューズをご用意しておりますので、必要でしたらそちらをお使いください」
年配の女性は私にそう言った。とりあえず、私はリビングらしき部屋のソファに腰掛ける。すると、執事らしき人が紅茶を淹れてくれた。
「こちらをどうぞ。外はだんだんと冷えてまいりましたから」
「ありがとうございます……」
私はそれを受け取ると、両手で包んだ。紅茶の温かさが、緊張をほぐしてくれているような気がした。
「私は執事の長良と申します。何かございましたら、気軽にお申し付けくださいませ」
「私は家政婦の六実と申します。好き嫌いなどございましたら、すぐおっしゃってくださいね」
「は、はぁ……」
この二人は執事と家政婦なのに、笑顔なのに、なぜか圧がすごい。ふと目を左に移すと、そこにあるのは大きな水槽だった。カラフルな熱帯魚が、泳ぎ回っている。どんなに大きな部屋の中だって、閉じ込められたら窮屈だよね……。なぜかその魚たちに同情すると、一番大きな黄色いのと目があった気がした。
「おかえりなさいませ、愛果様」
まるで自動ドアのように扉が開き、年老いた執事らしき人と、お手伝いなのか年配の女性に迎えられた。
「愛果様のお荷物はすべてお部屋に運んであります。どうぞ、こちらへ」
促されるままに部屋の中に足を踏み入れる。靴を脱ごうとすると、制された。
「こちらは土足でけっこうですよ、愛果様。お部屋にルームシューズをご用意しておりますので、必要でしたらそちらをお使いください」
年配の女性は私にそう言った。とりあえず、私はリビングらしき部屋のソファに腰掛ける。すると、執事らしき人が紅茶を淹れてくれた。
「こちらをどうぞ。外はだんだんと冷えてまいりましたから」
「ありがとうございます……」
私はそれを受け取ると、両手で包んだ。紅茶の温かさが、緊張をほぐしてくれているような気がした。
「私は執事の長良と申します。何かございましたら、気軽にお申し付けくださいませ」
「私は家政婦の六実と申します。好き嫌いなどございましたら、すぐおっしゃってくださいね」
「は、はぁ……」
この二人は執事と家政婦なのに、笑顔なのに、なぜか圧がすごい。ふと目を左に移すと、そこにあるのは大きな水槽だった。カラフルな熱帯魚が、泳ぎ回っている。どんなに大きな部屋の中だって、閉じ込められたら窮屈だよね……。なぜかその魚たちに同情すると、一番大きな黄色いのと目があった気がした。