嫌わないでよ青谷くん!
お互い嫌い合っていて、金輪際深く関わらないと思っていた。決めていた。けれどあんなことがあって青谷に対する見方が変わった。もっと話してみたいと思った。彼の、直子とは違う角度から見た世界を知りたいと思った。それは紛れもない事実だ。
直子は暫くのあいだ画面の上で指を彷徨わせ、意を決して文字を打ちはじめた。躊躇いが尾を引いて入力速度が遅くなったが、なんとか送信ボタンを押す。
『今日はありがとう。私も青谷のこともっと知りたい』
「人気者」の皮膚の下に沈んだ「自分」を引きずり上げて話すのは久しぶりだった。だから、ありがとう。
もちろん今までの自分がすべて否定されて、苦しかったし、苛立ちも感じた。せめて言葉を選べと言いたい気持ちもある。けれどそう感じるのは図星だったからだ。だからといって生き方を変えるつもりもないけれど、青谷の前ならば曝け出してもいいと思ったのだ。馬鹿で、未熟で、どうしようもなく弱い裸の自分を。
直子は知らず知らずのうちに微笑みを浮かべていた。
『あと』
暫くして、青谷から二文字だけ送られてきた。しかしそのあと何分経っても続きが送られて来ず、直子の上にはてなが浮かぶ。
その後さらに待っても返信が来なかったので、痺れを切らした直子は迷う心を抱えながらも言葉を送った。
『なに?』
五分後、やっと返信がきた。
『強く言い過ぎた。ごめん』
もしかしたら青谷は直子が思っているよりもずっと良い奴なのかもしれない。第一印象ばかりが先行していたが、果たしてそれは青谷のすべてなのだろうか。
もっと知ってからでいいのだろう。嫌いも好きも、相手と対話してはじめて成り立つ。
直子は暫くのあいだ画面の上で指を彷徨わせ、意を決して文字を打ちはじめた。躊躇いが尾を引いて入力速度が遅くなったが、なんとか送信ボタンを押す。
『今日はありがとう。私も青谷のこともっと知りたい』
「人気者」の皮膚の下に沈んだ「自分」を引きずり上げて話すのは久しぶりだった。だから、ありがとう。
もちろん今までの自分がすべて否定されて、苦しかったし、苛立ちも感じた。せめて言葉を選べと言いたい気持ちもある。けれどそう感じるのは図星だったからだ。だからといって生き方を変えるつもりもないけれど、青谷の前ならば曝け出してもいいと思ったのだ。馬鹿で、未熟で、どうしようもなく弱い裸の自分を。
直子は知らず知らずのうちに微笑みを浮かべていた。
『あと』
暫くして、青谷から二文字だけ送られてきた。しかしそのあと何分経っても続きが送られて来ず、直子の上にはてなが浮かぶ。
その後さらに待っても返信が来なかったので、痺れを切らした直子は迷う心を抱えながらも言葉を送った。
『なに?』
五分後、やっと返信がきた。
『強く言い過ぎた。ごめん』
もしかしたら青谷は直子が思っているよりもずっと良い奴なのかもしれない。第一印象ばかりが先行していたが、果たしてそれは青谷のすべてなのだろうか。
もっと知ってからでいいのだろう。嫌いも好きも、相手と対話してはじめて成り立つ。