嫌わないでよ青谷くん!
「おい、カレーが好きなのわかったから、こっち見ろ」
不満を前面に押し出した声で類が言った。直子は思考を深い場所から引き摺り出し、カレーから類に視線を移す。
「ごめんごめん」
「お前まじで食べるの好きよな。いっつも食事の時静かになりよる」
それは直子が中学時代に仲が良かった人からも言われた事だった。図星で決まりが悪くなり、唇をもごもごと動かす。
類は仕方なし、と言うがごとくメガネの奥で目を細めた。たぶん彼の彼女が彼に愛想を尽かさないのは、こういうところがあるからなのだろう。
「まぁそれはともかくや。青谷と直子どっちから誘ったんや」
「青谷」
「「はぁ⁉」」
今日一番の煩さだった。食堂いっぱいに声が響き、人々の注目が集まる。直子が二人を睨めば、芽衣は肩を縮こまらさせて意識的に細い声を出した。
「待って、青谷くんってそんな子だった?」
「いやちゃうな。あいつは基本人のことどうでもいい思うとる」
「んな決めつけなくても」
類に一つ突っ込みを決めて、直子は確かに、と思った。直子から見ても青谷は人間関係に淡白だ。その青谷が理由があるとはいえ自ら女子を誘うなんて、あの時は納得したが、改めて問われると疑問が残る。
「恋の香りだぁー」
揶揄った口調で芽衣がニヤつく。
「んなわけ。私以外に知ってる女子いなかったんだと」
「でも青谷くんだったら誰も誘わずに余ったとこ入りそうじゃん」
頷きかけて、やめる。いらぬ期待を抱き始める心に蓋をするように、直子はスプーンに大盛りのカレーをのせて、思いごと流し込んだ。
不満を前面に押し出した声で類が言った。直子は思考を深い場所から引き摺り出し、カレーから類に視線を移す。
「ごめんごめん」
「お前まじで食べるの好きよな。いっつも食事の時静かになりよる」
それは直子が中学時代に仲が良かった人からも言われた事だった。図星で決まりが悪くなり、唇をもごもごと動かす。
類は仕方なし、と言うがごとくメガネの奥で目を細めた。たぶん彼の彼女が彼に愛想を尽かさないのは、こういうところがあるからなのだろう。
「まぁそれはともかくや。青谷と直子どっちから誘ったんや」
「青谷」
「「はぁ⁉」」
今日一番の煩さだった。食堂いっぱいに声が響き、人々の注目が集まる。直子が二人を睨めば、芽衣は肩を縮こまらさせて意識的に細い声を出した。
「待って、青谷くんってそんな子だった?」
「いやちゃうな。あいつは基本人のことどうでもいい思うとる」
「んな決めつけなくても」
類に一つ突っ込みを決めて、直子は確かに、と思った。直子から見ても青谷は人間関係に淡白だ。その青谷が理由があるとはいえ自ら女子を誘うなんて、あの時は納得したが、改めて問われると疑問が残る。
「恋の香りだぁー」
揶揄った口調で芽衣がニヤつく。
「んなわけ。私以外に知ってる女子いなかったんだと」
「でも青谷くんだったら誰も誘わずに余ったとこ入りそうじゃん」
頷きかけて、やめる。いらぬ期待を抱き始める心に蓋をするように、直子はスプーンに大盛りのカレーをのせて、思いごと流し込んだ。