QUALIA ー最強総長×家出少女ー
挑戦
あれから1週間が経過した。

ペコはAXISの縄張りで安全ということで、私は今も月子として働いている。

慧さんがいつものように、お客さんの前でピアノを演奏した。

夜の時間帯はペコではお酒も出しており、一番混んでいる。

「また、天音だ…」

慧さんはよく私への当て付けのように天音を演奏する。

だけど、私のピアノへの情熱は、すっかり冷めてしまっていた。

今でも共感覚により、旋律が聞こえることはあるけど、それを音楽にしようとは思わなかった。

それよりも、ここでの生活が楽しかったから。

ピアノを無理やり弾かされている自分よりも、はるかに今の自分の方が好きだ。そう思える。

「では、続いては特別ゲストに演奏していただきましょう」

特別ゲスト?

麗於さんがアナウンスする。

この日の慧さんの演奏は特によかった。

お客さんはまだ、その余韻に浸っている。

「次は、月子さんの登場です!」
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