QUALIA ー最強総長×家出少女ー
「みんな? どうして?」

ルナや将冴さん、篤史さん、颯太君がピアノから少し離れた丸テーブルに座る。

カウンターからは、肘をついて麗於さんが微笑む。

「こうなったら、やるしかない…」

ドキドキと胸を高鳴らせながら、ピアノへと向かう。

慧さんとすれ違う。

「可哀想に。同情するよ」

皮肉っぽく嘲笑う。その顔は“どうせお前にはできない”とでも言いたげだ。

「が、是非聴きたいね。本物の天音を」

ここまで言われたら、引き下がれない。

私は深呼吸して、ピアノチェアに腰かけた。
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