QUALIA ー最強総長×家出少女ー

本当の気持ち

翌日、キッチンで朝ごはんを作っていた麗於さんに、私が言う。

「お願いします。もう一度、みんなの前でピアノを弾かせてください」

麗於さんは私の顔を見るなり、何もかも見透かしたように微笑んだ。

「昨夜とは別人かと思いましたよ。とても良い顔になりましたね」

今日は日曜日だ。前に失敗した日よりも、お客さんはたくさん来るだろう。

時間帯は、もっともお客さんが集まる夜7時だ。しかも、慧さんの演奏があると事前に宣伝してあったから、慧さん目当てで、ピアノ好きの常連さんがたくさん来る。

つまり、今度こそ失敗は許されないということだ。

「琴葉っ！ 今日リベンジすんだってな！ 応援してるから頑張れよっ！」

将冴さんがいつもの笑顔で笑う。

「ありがとうございます！」
「でも無理だけはすんなよな！」

ルナは私が弾くと知ってから、一日中、落ち着かなかった。昨日はいつの間にか眠っていた私を、ベッドまで運んでくれたらしい。