QUALIA ー最強総長×家出少女ー
見られたの…?
胸元には、紫と黒に醜く染まったアザ。身体中には同じアザがいくつもある。誰にも明かしたくなかった、最悪な秘密…。
「お前、家で…」
その目は、私の全てを見透かしたような気がした。
けれど不思議なことに、同情の色はない。ただ赤い眼光が、鋭く私の瞳孔を射ぬく。
ーーああ、また聴こえる。
苦痛のあまり、奥歯を噛み締める。頭に響くのは、金属を擦るような不協和音。
私の意思に反して、強制的に響く音。
“記憶の旋律”だ。
私には過去の記憶が、音楽となって聴こえてくることがある。
医学的には“共感覚”というらしい。かなり特殊な能力で、この音は、私にしか聴こえないという。
その音を感じながら、まぶたに、昨日の記憶をひとつずつ再生する。
そうだ。私は昨日ーーー