QUALIA ー最強総長×家出少女ー
「お父さんに…? どうしてそんなこと…」

ルナは細く息を吐く。

そういえば、ルナの過去は初めてきく。

ルナの不眠症の原因は、過去にあるらしいけど。

「親父はヤクザの末端だった。俺んちは親父のヤクザ仲間のたまり場として使われてて、俺もそいつらに、よくちょっかいを出されてた」

ルナは壁にある女の人の写真をチラリと見る。

その表情は、あまりにも悲しみに満ちていた。

「あの人は、ルナの恋人なの?」

ルナは「いや」と首をふる。

「俺の腹違いの姉さんだ。俺は親父と姉さんの三人で暮らしてた」

そういえば、女の人の目と、ルナの目はよく似ている。

「酒に酔った親父の仲間が、絵のうまさを自慢するために安いタトゥー針で俺の背中に掘ったんだ。当時12の小学生にな。俺は抵抗したけど、大人の男五人で押さえつけられて、どうすることもできなかった。姉さんは泣き叫んでた。いつも俺を親父達から守ってくれていたから。けど、親父に殴られて、このときは俺を救えなかった」
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