QUALIA ー最強総長×家出少女ー
ルナの背中の髑髏が、真っ黒な目で私を見つめる。それはまるで、深く淀んだ海の深淵のよう。

ルナは続ける。

「それをきっかけに俺は家を出た。見たくもないものを見ないために、毎日めちゃくちゃに遊んでたよ。たまに家に帰ると、姉さんは『私は大丈夫』っていつも笑ってた。それを信じて、姉さんは親父とうまくやってるんだって思い込んでた。けどある日、家に帰ると…」

ルナの瞳が、一段と暗闇を帯びた。ルナの抱える過去の闇に踏み込んでいるのだと、肌で感じる。

「姉さんが死んでたんだ。親父は事故だって言ってたけど、仲間達のほくそ笑む顔を見て、あの日の俺のように、酒に酔った末の“悪ふざけ”が原因だって悟った…」

重い沈黙が流れる。言葉を失った。

家族に裏切られる痛みは、私にも分かる。

きっとお姉さんも、どんなに酷いことをされても、お父さんを信じてたんだ。

それに小さかったルナに心配をかけたくなかったから『大丈夫』って笑ったんだ。

その気持ちを思うだけで、心が痛んだ。
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