QUALIA ー最強総長×家出少女ー
昨日の夜は、拷問のようだった。

何人もの執事に押さえつけられ、私は、服を脱がされた。

そしてあの人は、高温で湯気を立てる、はんだごてを背中に押しつけた。

「痛゛っ!!」

火傷で肌がただれ、熱さと痛みで悶絶する。

「なんで? お兄ちゃん…?」

相手は、実の兄。

昔はおままごとをしてよく遊び、近所からは仲が良いと評判の兄妹だった。

両親が死に、ひとりぼっちの私に、お兄ちゃんが「一緒に暮らそう」と言ったときは、どれほど嬉しかっただろう。

「いじめじゃないよ琴葉。これは治療なんだ。琴葉がまた、ピアノを弾けるためのね…」

エスカレートしていく暴力。私の心はすり減るように、感情を失っていく。

誰でもいい。私を助けて。

それが無理なら、いっそ殺してほしい。

眠りにつく度に、このまま眠り続けて、二度と目覚めなければいいのにと思った。

けれど、そんな夜。

私はいつも“君”の夢を見るんだ。
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