QUALIA ー最強総長×家出少女ー
ルナは私を見て、微笑んだ。

「琴葉のおかげで、俺は進むべき道が分かった。琴葉がいなかったら、俺は前へ進めなかった」

濡れた服に風が当たる度にひんやりとした。その分、ルナと肌が重なると温かかった。

「私の方こそ、ルナにはもらってばっかだよ…」

ルナは首をふる。

「姉さんを失い、俺には誰も愛する権利がないと思ってた。けど琴葉が……琴葉が教えてくれたんだ。俺にはまだ、誰かを愛することができるって」

瞳をのぞかせ、見つめ合う。心の奥で、私達はつながり、お互いを必要とし合っていた。

思えば夢に見た夜、私達が出会った瞬間から、私達の運命は重なっていたんだと思う。

「ルナ、私、ルナのことが好き…」

初めて、はっきりと告白した。

ルナは私を見つめたまま、ほほに触れる。

そして唇を近づける。

「俺も…」

そう言いかけた。けど、キスはしなかった。
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