QUALIA ー最強総長×家出少女ー
ルナは私の手を引き、海の方へ駆けた。まるで海に落ちる星を捕まえるように。

だけど、海に腰まで浸かると、足が止まった。

光はまた、地平線のはるか向こうに落ちる。

それを捕まえるには、私達の存在はあまりにも小さすぎた。

「好きだからこそ…」

ルナが呟く。

風が吹き始める。海は波立ち、声が霞んでいく。

波の音で、その続きを聞くことができなかった。

ただ、海の中でつないだ右手の感触が、あまりにも切なかった。
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