QUALIA ー最強総長×家出少女ー

「嫌だ、それだけはダメ!! お願い、許して!!!」

思い出すだけで身体中の傷が痛む。あれは、拷問のような痛みだった。お兄ちゃんは首を横にふる。

「ピアノを弾いたら止めてやるよ。けど、弾かないなら…」

はんだごては高温で熱せられ、湯気が立つ。それをどんどん顔に近づける。

「なんで!? お兄ちゃん、どうしてよ!? 優しかった頃に戻ってよ!!」

学校の先生や、美桜達にはお兄ちゃんの暴力のことを相談できなかった。

言いづらいってこともあるけど、心のどこかで、優しかったお兄ちゃんが戻ってきてくれると信じていたからかもしれない。

「口押さえろ! あと鍵閉めて音漏れないようにしとけ!!」

お兄ちゃんは私を無視して執事達に命令する。

「言うことをきいてピアノを弾けばいくらでも優しくしてやるよ。ほら、さっさと弾けよ!」
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