QUALIA ー最強総長×家出少女ー
蓮はどこか含みのある笑みを浮かべる。

「明日の演奏、期待してるよ。今度はどんな魔法で僕を驚かすのか、今から楽しみだね」

私は白身魚を切っていたナイフを止める。

「蓮はさ。知ってるの?」
「ん? 何をだい?」

蓮は軽く首をかしげる。幼なじみだから分かる。この様子だと、本当にルナのことは知らないみたいだ。

「いい。何でもない…」

蓮は不思議そうな目で私を見ていた。外を見ると、いつの間にか雪がやんでいた。

「君はたまに、誰にも見えないような世界を見ているよね」

蓮の声が少し震えていた。

「何を?」と私。
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