QUALIA ー最強総長×家出少女ー
ドキドキと胸が高鳴った。同時に、温かいものが、おへその辺りから込み上げる。

「そう。彼の一番好きな花でした。子供の頃は、クリスマスになると、よく鉢植えに種をまいて育てていましたからね」

夢のことが思い出された。ルナが帰りたくないと駄々をこねる私に贈ったのは、ルナが育てていたものだったんだ。

「きっとこれも、ルナが育てたのでしょう」と麗於さん。

花びらをよく見ると、裏に小さなカードがあった。

私はそれを手に取る。表は真っ白だ。裏を見ると、何かが書いてある。

『出会った日から、この想いは変わらない。』

それはルナの字だった。

“この想い”?

麗於さんはカードを見て、私に問いかける。

「ポインセチアの花言葉を知っていますか?」

四年前にも同じ質問を誰かにされた気がする。

「いいえ…」

麗於さんはにこりと微笑む。

「“あなたが、幸せであることを願っている。”」
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