QUALIA ー最強総長×家出少女ー
振り返ると、誰かが横断幕をかかげている。

そこには“AXIS最強!”の文字。

それをかかげていたのは、将冴さん、颯太君、麗於さん、そして篤史さん、慧さん、陽葵さんだった。

「みんな、来てくれたんだ」

周りの観客はきょとんとしている。みんなはスーツを着て難しそうな顔をしている他の観客とは存在感が異質だ。

しかも“AXIS最強!”とか。ここ、暴走族のたまり場じゃなくて、世界一のピアニストを決める、伝統と格式のある世界で最も格調高いピアノコンクールで……

「ぷふっ」

笑いとともに、緊張が吹っ飛んだ。コンクールの雰囲気に飲まれ、危うく自分らしさを失うところだった。

「ありがとう」

そう呟くと、ピアノチェアへと腰かけた。

会場に緊張が広がる。みんなの横断幕でざわついていた観客達も一気に静まり返る。
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