QUALIA ー最強総長×家出少女ー
審査員が立ち上がり、私に拍手した。それを皮切りに、会場からは、盛大な拍手が起こる。

みんなの目からは、涙が流れていた。私の想いが伝わった。そんな気がして、胸にジーンと熱いものが広がる。

「行かなきゃ…」

立ち上がり、私はフラフラな体で観客席の方へ向かう。そしてステージのギリギリまで来ると、深く頭を下げた。

まだ拍手は鳴り止まなかった。それはまるで、私を包み込み、受け入れてくれているようだった。

そっか。ここだったんだ。

ずっと探していたものが、ようやく見つかった。

私の居場所は、ここにあったんだね。

頭を上げると、会場を照らすライトの光がまぶしかった。

きっとルナも、私の演奏を聴いてくれた。そんな気がする。

「ありがとうルナ…」

絞り出すように、私は言う。

「あなたはずっと、私の青春の光だった…」

これからも、決して忘れない。

いつまでだって。

きっとまた、会えるから。

そのときまで。
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