QUALIA ー最強総長×家出少女ー
ワルシャワの旧市街では、大きなクリスマスツリーが飾られ、イルミネーションが辺りを美しく輝かせていた。

「失格になったのは残念だったな」と慧さん。

「うん。だけど、私らしい演奏はできたと思う」

「そうですね。きっと今日は、琴葉が一番輝いていましたよ」と麗於さん。

「なぁなぁ、向こうの出店でおっさんがサンタになってるぜ! 何か買ってみんなで食おうや!」

将冴さんが四年前のお祭りのときみたいにはしゃぐ。

「ちっ、てめぇはいつまでもガキだな」と篤史さん。

私の頭をなでると「すげぇ演奏だった。俺は琴葉を誇りに思う」と微笑んだ。

「ありがとうございます。篤史さんもすっかりパパですね!」

篤史さんの足には、篤史さんにそっくりな男の子がいた。篤史さんはその子を抱き抱える。

「たく、俺がパパになっちまったのはお前のせいだからな」

「え? 私? 私はただハンカチを返すお手伝いをしただけで」

「うっせえわ! 絶対に結婚式でピアノ弾いてもらうからな!」
< 300 / 304 >

この作品をシェア

pagetop