QUALIA ー最強総長×家出少女ー
その言葉に、胸がチクリと痛くなった。
帰されるんだ私……
家出をしたなんて、言えない。助けてくれたとは言え、この人はただの他人なんだから。
都合が悪くなれば、人間はあっさりと他人を見捨てる。人間の心って、そうできている。
「どうした? 黙っちゃって」
将冴さんは心配そうに私を見つめる。
「家には、その…」
うまく言葉が出てこない。
嘘をついて、誤魔化すしかないのかな?
「もしかして、訳あり? 家に帰りたくないとか」
図星をつかれ、ドキッとする。
「そっか。じゃあ、俺も詳しくは聞かないでおくよ。君の“過去”にまで、責任が持てないからな」
やっぱり、捨てる気なんだ。
だったらいっそ、助けてくれなければよかった。
そうすれば、体と引き換えにでも、住むところだけは手に入ったはずだ。
「だからさ、“これからどうしたいか”って、話だけするよ」
え……っ?
「君はこれから…」
将冴さんはにこりと笑う。
「AXISに入る気はない?」