QUALIA ー最強総長×家出少女ー
全国No.1
☆☆☆
昔から、何度も見る夢がある。あの夢を見ると、私はきまって、温かい気持ちで朝をむかえることができた。
お父さんと、お母さんが病院に運ばれた夜も、二人の死を告げられた夜も、
初めて大好きだったお兄ちゃんに、お腹を思いっきり殴られた夜も……
私を癒したのは、あの夢だった。
大きなグランドピアノのある、古民家のような雰囲気の小さなカフェだった。雪が白く光る、満月の夜。
そこにいたのは、幼い頃の私と、中学生くらいの、黒髪の男の子。
ピアノチェアに座る私は、寒さで震えていた。裸足で、なぜか血まみれな足。
彼は涙を流すと、そっと私を抱き締める。彼に包まれながら、私も涙がこぼれる。
「やっと……やっと会えた…」