QUALIA ー最強総長×家出少女ー
高台では、みんなお酒を飲んだりして楽しそうにしゃべっていた。
私の知らない、こういう世界があるんだな。
彼らはまるで、大海を自由に航海する海賊のよう。
きっと私のように、いつまでも過去に囚われ、苦しめられることもなく、仲間達と今を大切に生きているんだろう。
「あの将冴さんが女をつくるとはな」
「いやいや、あの子は違うよ。AXISで女をつくるのは隊律違反だろ?」
「ははっ、それもそうか」
AXISの人達はチラチラと私と将冴さんを見る。
正体がバレないか、不安になる。
「なぁ、このあとどこ行く?」と将冴さん。
「最後までとことん楽しもうぜ! 琴葉の笑顔、もっと見たいしさ!」
将冴さんは、まるで太陽のように温かい。
そんなことを言われたら、帰りたくなくなっちゃう。
胸にすっと、寂しさが広がる。
現実は、刻一刻と迫っている。
「おい、将冴」
急に声がした。それはルナだった。
「その女、ちょっと借りるぞ」