御曹司は魔法使い⁉︎
俺自身、彼女と旅行なんて初めてのことだったから、予約を取るだけでも緊張した。
もちろん、夜のことも。

そう、この旅行で、全く遊んでこなかった真面目な俺は初体験を経験するはずだった。

日中はテニスをしたり、旧軽井沢銀座を歩いたり、観光を満喫した。

そして、満を持しての夜だった。
彼女をベットに誘い、キスをした。

すると、彼女の様子がおかしくなったのだ。
口元を押さえて下を向き、そのままトイレに駆け込んで行った。俺は一瞬呆然としたが、すぐに彼女を追いかけた。

食べた物が悪かったのか、それとも…俺とのキスがイヤだったのか…。
そんな不安に駆られながら、彼女が出てくるのを待った。

出てきた彼女の顔色はかなり悪かった。
正直、もう続行するような雰囲気ではないし、
俺は彼女の体調が心配でならなかった。

しかし、彼女の方が、大丈夫だからと続けようとした。

あり得ない。
俺は彼女の体調も気遣えない鬼畜じゃない。

そう言って、その日はそのまま休む事にした。

< 113 / 170 >

この作品をシェア

pagetop