御曹司は魔法使い⁉︎
「顔を上げてくれ。
俺は、花を嫁に出す気なんて、さらさらなかったんだ。
それこそ、こんなに可愛いのに、奇跡的にそういう申し込みはなかったから安心してた。

…君のことは、実は雅貴さんから少し話を聞いていた。」

「父から…?」

「息子が、全く女性に興味を示さない。
ひょっとしたら、アッチのケがあるかもしれない、ってな。」

「…‼︎ なんて事を!」

あー、美咲さんの心配は、皆んな同じだったんだわ…。

「まあ、今どきそれもアリだろう。
古い人は偏見の目で見るかもしれないけど、
個性だからな。」

「…‼︎」

お父さん、私と同じこと言ってるわ。
そうよね。私も個性だと思う。

「でも、違ったんだな。
いや、雅貴さんの喜ぶ顔が浮かぶよ。
……寿貴くん。」

「はい!」

「花は俺と葉子の宝だ。
必ず、幸せにしてくれると誓えるね?」

「はい! 必ず幸せにします!」

「だったら仕方がない。認めよう。
反対して、花に嫌われたくないからな。
孫を抱っこさせてもらえないとか、サイアクだからな。」

「…。」
「…。」

< 135 / 170 >

この作品をシェア

pagetop