御曹司は魔法使い⁉︎
スイートのアイランドキッチンでは、父と母が皆さんのためにコーヒーを淹れていた。
この香りは私のDNAに刻み込まれているのかもしれない。香りを感じるだけで、気持ちが安らぐ。

「花は出産直後だから、コーヒーは無理よね?
デカフェも用意したんだけど…。」

母が遠慮がちに言う。
出来る事ならいただきたい。
でも、ここはドクターの指示がないとねぇ。

「少しなら構いませんよ。
花も落ち着く事でしょう。」

やっぱり寿貴先生はよくわかってる。
ありがたく飲ませてもらうことにした。

皆さんが帰られるのと入れ替えに、周さんと、
なんと秋香さんが来てくれた。

「花ちゃんおめでとう!」

「秋香さん、周さんもわざわざすみません。
ありがとうございます。」

「うわ!
え、寿貴くん?」

「わ! 寿貴まんまだ…。
似過ぎてるよ、これは…。」

やっぱり…。
反応は皆さん同じらしい。

「仁貴って言うんだ。」

「仁貴くんかー。よろしくな!
周おじさんだぞ〜。」

周さんが仁貴に挨拶をしてくれている。
見ていて微笑ましい。

「え〜! 私、秋香おばちゃんはちょっとねぇ…。秋香ちゃんって呼んでもらう!
仁貴くんよろしくね〜。」

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