御曹司は魔法使い⁉︎

「…うん。うん。
ありがとう〜〜。
ほ、本当はね、ま、まだ考えられないの。
今日も皆んな、早く戻ってきて、って言ってくれたけど、仁貴から離れたくないの〜！」

そう言って大泣きする私の頭を、よしよしと撫でてくれた。
私の不安を分かち合ってくれる。
優しい旦那様。それだけで、やっぱり涙が溢れてくるよ…。

「仁貴は落ち着いてるし、ゆっくり風呂に浸かってこい。」

そう言われた私は、有難くゆっくりお風呂に入らせてもらった。
お風呂に浸かっていると、さっきまで何で泣いていたのかよくわからない。
やっぱり、産後の私はちょっとおかしい。

お風呂から出ると、仁貴はスヤスヤと安定した寝息を立てていた。
今日は、仁貴もパパと一緒に湯船デビューしたから、疲れたのかもしれない。

「上がったか。
…花、ちょっとこっちに来て。」

「どうしたの？」

「ここに座って。」

…なんだろう？改まって。
私は言われた通り、ソファに腰掛けた。

「花……これ、遅くなったけど…。」

そう言って見せられたのは、一見して何処のブランドかわかる、水色の箱に入った指輪だった。